まずは手伝いから

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筆記試験の感触はまぁまぁ。 実技は結構いけたと思う。 口頭試問は、間違った民間医療が身についていないか、将来の医師になるにふさわしい人物であるか、なぜ医師を目指したのか、人間性はどうかなどが確認された。 これに関しては、試験官に与えた印象などがメインとなる為、明確な答えはない。 もしも不合格なら、その時は医師への道を断念する、とジュリアーノとは約束を交わしてきた。 入園試験を終えて、まだ緊張が解けぬまま、帰宅する。 結果が出るのは3日後。 お母さん。どうか、私に力を貸して。 メアリは祈るような気持ちで合否通知が届くまでを過ごした。 そして、入園試験から3日後、メアリの元には合格通知が届いた。 トップでの合格だったらしく、入園式での新入生代表の挨拶をするように記載があったが、目立ちたくないメアリはそっと辞退した。 なぜなら、入園式には国王が来賓として出席するからだ。 もちろん、出席しなかったとしても断っていたけれど。 入園は第3の月。 入園までの数ヶ月間、メアリは荷物を整えたり、ルパートの元で医療を学んだり、食堂を手伝ったりと忙しく過ごした。 もし万が一、王家の人間だと知られた時、少しでも楽しかった思い出があった方がいいと思ったからだ。 それに、1ヶ月に一度は戻るとはいえ、これからの数年間寮に入ることになるので、ルパートや両親に恩返しをしたかったのだ。 入園式の日、マークとジュリアーノに付き添われて学園まで来ると、メアリは大きく深呼吸して入園式場の入り口をくぐった。 お母さん。 私の夢が、これから始まるよ。 頑張るから、見守っていてね。
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