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入園するとまずオリエンテーションがあり、その後、寮長から、寮生活についての規則や食堂の使い方などの説明があって、ようやく自分に割り振られた部屋へ入れたのは、夕刻になってからだった。
急いで荷解きをして、明日からの講義に備える。
1年生は学ぶことが多いからか、教科書や参考書が山のようにある。
それらを部門別に机の上に並べて、それからようやく生活用品を棚などにしまい始めた。
講義は明日から。
各学年、4クラスに別れていて、メアリは成績上位者の集まるSクラスだ。
勉強をするために入園したとは言っても、友達くらいほしい。
ジュリアーノ夫妻に拾われてから、いや、それまでも、メアリには友達と言える存在がいなかった。
亡き父母と暮らしている時は特段寂しいとは思わなかったし、ジュリアーノ夫妻に拾われてからも、ルパートの元での勉強や食堂の手伝いに忙しく、友達を作る暇もなかった。
それに、あまり目立たぬようにしていたから、外で遊ぶこともなかったのだ。
今度は、せめて二人くらい友達ができるといいけど。
メアリは片付いた部屋を見て、満足すると、明日からの予習をしながらそんなことを思った。
翌日。
Sクラスにドキドキしながら入る。
男女比は、圧倒的に男子が多い。
貴族の子息らしい、どこか傲慢さを滲ませた子たちや、いかにも平民まで様々。
女子は、少ないながらも貴族と平民は半々だった。
黒板に書かれたとおりに、席につくと、みんなさり気なく周りを見回している。
友達がほしいのは、多分みんな一緒だ。
メアリは戸籍上は貴族の娘だが、食堂とルパートの医療院で働いてきたから、どちらかと言えば、性格は平民寄り。
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