記憶の中の家族

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私の覚えている両親は、とても仲が良くて、ケンカをしているところなんて見たことがなかった。 父は鍛冶屋をしていて、母は近所の子どもたちを集めては勉強を教えていた。 でも、我が家は引っ越しが多かった。 長くても1年しか同じ場所には住まなかった。 短いときは1ヶ月で引っ越しということもあった。 幼い私にはその理由はわからなくて、それでも色々な村で過ごすのは楽しかった。 家にあるものは最小限のものだけ。 いつでも引っ越せるように、家具もほとんどなく、衣類や細々としたものはいつでも箱の中に仕舞われていた。
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