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昨日の事件があったからか、誰もダノンの近くに近寄ろうとしない。
ダノンと同じような傲慢な考えの貴族がいたとしても、上位貴族のイワンの耳に入って、嫌われるのを恐れているというのもあるだろう。
ダノンは面白くなさそうに足を投げ出して座って、指先でトントンと机を叩き始めた。
貧乏ゆすりみたいなものだろうけど、正直すごく耳障りだ。
アンヌもイワンも不愉快だったみたいで、たまりかねたイワンが言った。
「ダノン君。さっきから机をトントンと叩いているけど、やめてくれないか?うるさいし、気が散るんだよ」
「………すみません」
ものすごく納得のいかない表情で、ダノンは答えた。
そのうち、生徒が全員集まって少しすると、チャイムの音とともに担任が入ってきた。
「朝のHRをはじめる」
「先生」
担任が用件を言い始めるより先に、ダノンが立ち上がった。
いや、普通挙手するでしょう。
呆れた目で見ていると、担任はため息をついた。
「ダノン・サンダー。発言をするときは挙手し、許可を得てから発言するように」
「……すみません。発言してもいいですか?」
「許可する」
「席替えをお願いしたいのです。隣の席に下賤な奴らが2人もいて、講義に集中できそうにありません」
担任は深いため息をついた。
「ダノン・サンダー。この学園においては、身分差を理由に、不当に貶めたり、遠ざけようとする行為は禁じられています。よって、君の要望には応えられない。
むしろ聞きたいが、なぜ身分の低い人が隣にいると集中できないんだ?」
「それは……隣で必死にペンを動かしてたり、教科書をペラペラめくる音が気になるからです」
「なるほど。君は何か誤解しているようだが、身分が低いから必死に勉強しているわけではなく、熱心に講義を受けているからこそ、ノートを取り、教科書のどこに何が書いてあるのかを確認するものだ。
君がそれをしないというのなら、君はよほど自分に自信があるのか、勉強に対しての姿勢に問題があるんだろう」
「僕は自分の実力に自信があります!
隣の奴らみたいに朝早くから予習なんてしなくても、知識は充分にあります」
担任は今度こそ可哀想な子を見るような視線をダノンに向けた。
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