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「君のとなりにいる3人は、奨学金を貰えるほど優秀だったり、新入生の代表挨拶を務めるような人間だが、君はそれより自分の方が上だと思っているのか?
それに、医療行為における心構えの教科書には目を通したか?
己の力を過信せず、常に勉強を続けること、と書かれているはずだ。
これは、医療従事者の基本中の基本。
それができない、あるいはは必要ないと?」
「自分で言うのもどうかと思いますが、僕は優秀です。予習なんてしなくても、講義だけで充分理解できます」
「なるほど。ならば、君はこの学園に通う必要はないな」
えっ……とダノンが固まる。
「自宅で、医療従事者に直接教えてもらえばいいだろう。
それから、この学園には、学園内で従者や侍女を従えてはならないという規則があるのは知っているな?
君は今朝、従者に荷物をもたせて登校した。
これだけでもペナルティとして3日間の謹慎処分だといい渡そうと思っていたのだが、禁止されている身分差別、講義に対する姿勢、これらを鑑みるに、君は退学だ。
一応、学園長と相談はするが、そのつもりでいるように。
君が昨日、女子生徒に暴力行為を働こうとした件についても私達は把握済みだ。今から寮に戻って構わないから、早急に荷物をまとめるように」
ダノンは青い顔をして教室を出ていった。
馬鹿な人だとは思っていたし、担任とのやり取りでも地雷を踏みまくっていたから、怒られるだろうとは思っていたけど、まさか退学になるとは。
「他の皆にも言っておく。
学園内で侍女や従者に世話をさせた者は3日間の謹慎処分。
身分差別を行った者も3日間の謹慎処分。暴力行為は5日間の謹慎処分。
テストでのカンニング行為は一週間の謹慎処分、講義中の居眠りは1日の謹慎処分。遅刻も1日の謹慎処分。
ペナルティは謹慎処分の期間を終えてもリストに残る。謹慎期間の合計が10日間になった者は、強制的に退学になる。
普段から、真面目に講義に取り組んでいればペナルティは加算されないはずだ。落伍者がこれ以上出ないように」
青ざめているのは殆どが貴族の子息令嬢。
従者に世話をさせていたのか、或いは身分差別をするつもりでいたのか。
「以上でHRは終わりだ。今日からは本格的に講義が始まる。集中して講義を受けるように」
担任はそれだけ言って出ていった。
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