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自分との妙なウワサが流れでもしたら、中原に迷惑だな、と思い、のどかは、綾太に貴弘と結婚したことを打ち明けた。
よく考えたら、手続きのこともある。
「この会社に居るのも、あとちょっとなんですけど、もう婚姻届は役所に提出しているので。
人事部も届け出した方がいいですかね?」
と訊くと、綾太は、
「いつだ」
と訊いてくる。
「は?」
「いつ、成瀬社長と結婚したんだ……?」
「あ、令和になる前にですかね?」
「平成最後の記念にということか。
そんな計画的に話を進めていたとは知らなかった」
いや、なにも計画的ではない……。
「いつ何処でどうして出会ったのか知らないが」
貴方にクビにされて、呑んだくれてて出会ったんですよ、と思うのどかに、
「まるで、シンデレラだな」
と言い、綾太は鼻で笑う。
……人から見た客観的な事実と、自分のリアルはこんなに違うものなのか、とのどかは思った。
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