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いやいや、なにか緊急にして、怪しい電話っぽいじゃないですか、とのどかが、ずい、と前に出ると、貴弘は、また、じりっと後退する。
『成瀬貴弘さんですよね?』
と相手が言うのが聞こえてきた。
「……はい」
とこちらを気にしながら言う貴弘と相手が話している間に、ジリジリとのどかは貴弘を壁際に追い詰めていた。
なにか私が社長を襲ってるみたいなんだが、と思いながらも、のどかは貴弘のスマホに耳を近づける。
貴弘の顔が緊張しているかのように青ざめていたので、なんの電話かと心配になったからだ。
貴弘に頬寄せるくらい近づくと、ようやくまともに相手の話が聞こえてきた。
『……十八番地のあの一軒家、貴方が家主さんなんですよね?
気を失わされて、家に連れ込まれたって男性が此処に来てるんですが』
――という警察からの電話だった。
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