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「ああ~っ、新元号のカウントダウントかもしてみたかったのに~っ」
と叫びながら、のどかは貴弘に言った。
「印鑑っ。
印鑑くださいっ」
「宅配か」
印鑑と通帳やろうか、妻だから、と言われてしまう。
「いりませんっ。
さあ、印鑑持って、走ってくださいっ。
役所が閉まってしまいますっ」
とのどかは、おのれの鞄をつかんだ。
処理されてたら、離婚しかないか。
ああ、結婚した覚えもないのに、戸籍に離婚歴がつくとかっ、と思いながら、貴弘を急かして、夕暮れの道をひた走ると、役所ではもう片付けが始まっていた。
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