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彼は祟り神と猫を見守り、一緒に彷徨ってはいたが、死んではいなかったのではないだろうか。
猫の幸せそうな顔を見、泰親は安堵した。
そのことにより、自身に課していた使命が終わり、呪いが解けたのではないか――?
「生きてるじゃないですかっ、泰親さんっ」
「ほんとだ、のどかっ。
ちゃんと触れるぞっ」
と泰親がのどかの腕や背をパシパシと触ってくる。
「気安く触るなっ。
俺もまだあんまり触ってないのにっ」
と貴弘がのどかを泰親から引きはがしたとき、ああっ、と泰親が叫んだ。
「ってことは、もう猫になれないじゃないかっ」
と頭を抱える。
「いや、そこですか」
と青田が苦笑いして言っていた。
そして、気がつけば、老人はさっさと帰ろうとしている。
「待ってくださいっ。
あのっ、ありがとうございましたっ」
と叫んだあとで、のどかは言った。
「それと、すみません。
此処の雑草くださいっ。
お礼はしますからっ」
「いや、そこですか……」
「お礼、いりますかね~」
と青田と北村がそろって呟いていた。
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