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「……駄目な性格だな」
と夕暮れの役所前で、こちらを見下ろし、貴弘が言った。
ほんとですよ……とのどかがガックリうなだれたとき、
「おい、ぐへへへの大家さんが来たぞ」
と貴弘が言った。
「いや、ぐへへへは私ですよ」
と言いながら、前の通りを見ると、コンビニのビニール袋を手に大家さんが役所の門の前を通りかかるところだった。
「おや、今日も二人でお散歩ですか?
いやあ、あのあと、すぐに次の入居者が決まりましてね。
できれば来週までに入られたいみたいなんですけど。
大丈夫ですか?」
と訊かれ、
「はい」
と勝手に貴弘が答える。
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