あやしい古民家を手に入れました

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「あんた、酔って、ツッコミ入れるとき、派手に頭殴ったとかじゃないの?」  今更そんなことで、クビにしないと思うが……。  そんなの今までにも散々やっている。  なんなんだろうな~と思いながら、闇夜に紛れて冷蔵庫を運んでいると、ウォーキング中の人に出会い、ぎょっとされた。  不審に思われないよう、 「こんばんはー」 と挨拶する。  その人が遠ざかったあとで、風子が呟いた。 「あー、今、絶対、私たち夜逃げの人だと思われたよー。  10連休なのに。  新元号になったのに、なにやってんの? 私たち」 「いやあ~、元号変わろうが、年が明けようが。  いきなり人間変わったりしないからね~」  うう、持ちにくくて指が痛い、と思いながら、のどかはそう言った。  近所だから運ぶの楽勝だと思っていたが、全然楽勝ではない。 「暗闇でお兄ちゃんの新車磨いてたとき以来のギョッとされ方だったよ、今の」 と言って、 「あんた普段、なにやってんの……」 と言われてしまう。
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