あやしい古民家を手に入れました

5/43
前へ
/430ページ
次へ
 まあ、そのうち、招待したら、すぐにバレるが。 「今度、遊びに行かせてね。  いいなあ、一軒家かあ」 「あ、うん」 と曖昧に返事をしたあとで、気づく。 「いやでもさ。  ひとりで住んでるんじゃないんだよ」 「え? 一軒家なんでしょ?」 「大きな一軒家なんで、半分に分けてあるの。  半分は違う人が住んでるんだ」 「ええっ?  なにそれ、大丈夫なのっ?」 「うん。  鍵がついてるから、隣との境に」 「そうなんだー。  で、隣の人、どんな人?」  少し先に、灯りのついたスナックの看板がある。  その側のポリバケツの上にふさふさの猫が寝ているのを見ながら、のどかは言った。 「知らない。  見たことないから。  一応、引っ越し蕎麦は玄関に置いておいたんだけどね」  道の駅とかで売ってるような乾燥したダシ付きのやつだが。 「どんな人なのか、大家さんも知らないみたいだし」 「……なんで大家さんが知らないのよ」
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3818人が本棚に入れています
本棚に追加