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いよいよ見えてきた風子のアパートを見上げたとき、風子が、
「駄目、限界。
一回下ろそうか」
と言ったので、すぐに同意し、道の端に下ろす。
ふうーと二人で冷蔵庫に手をつき、休憩した。
「でもさ、いいの?
一軒家ならいるじゃん、冷蔵庫」
「それが、今度の家、家具がついてるんだよねー」
へー、そうなんだーと言った風子だったが。
「なんかお茶碗とかも全部残ってるんだけど、さすがにそれは使わないかなー」
と言うと、
「……ねえ、その家大丈夫?」
と言ってくる。
実は前に誰が住んでいたのとか。
何故、家具も茶碗も残っているのかとか。
貴弘も知らないのだ。
なにせ、ひいおじいさんに、ドサっとまとめてもらった不動産のうちのひとつだから……。
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