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「じゃあ、社長、失礼します」
と綾太に挨拶すると、綾太は語り出す。
「……覚えているか。
昔、お前が小学校の図書室で、『日本不思議探検』の本を譲ってくれたのを。
あれが俺とお前の最初の――」
「えっ?
そうだったっけ?」
とのどかは話の途中で、思わず言ってしまい、
「とっとと帰れっ。
中原っ。
こいつに退職金なんて出さなくていいからなっ」
と綾太が廊下に向かい、叫び出す。
はいはい、と開いた扉のところから、中原が苦笑いして聞いていた。
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