6話・狼がシジミにかわる朝

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「ありがとう、原口さんのネイルも夏らしくていいね」 相田さんは得意のリップサービスで、彼女をすっかり骨抜きにしている。 そのまま、よろしくやっていて欲しい。 そんな願いは叶えられることなく、彼女との会話を早々に切り上げた相田さんが、満面の笑みで駆け寄ってきた。 「おはよう、巴ちゃん!」 「おはようございます」 「昨日はありがとう、凄く楽しかったよ」 このタイミングで、なんて余計なことを…… 「なんだ、やっぱり相手は相田だったのか」 ほら、主任が食いついた。 原口さんからも、殺気が立ち昇っている。 「違いますっ、相田さんとはランチに行っただけです」 「巴ちゃん、呼び方」 「え?」 「ほら、これからは涼平さんって呼んでくれるって――」 「相田さん、ちょっと来てください!」 彼の腕を掴んで、庶務課から引きずり出した。
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