6439人が本棚に入れています
本棚に追加
/529ページ
「ひぃあああっ!」
指を折り曲げられて、ある一点を擦られた瞬間。
目の前で火花が散って、腰から下が違う生き物のように大きく跳ね上がった。
「ああ、ここがいいんですね」
「やっ、だめえっ! おねがっ……も、無理なのおっ!」
生理的な涙をまき散らしながら叫んだ。
もう気持ちいいのか、辛いのかさえ分からなくて。
目の前の大きな胸に、必死でしがみついた。
そうしないと、どこでもないどこかへ落ちていくような気がした。
「大丈夫だから、ほら……もっと、気持ちよくなって」
「も、分かんな……ぃ、ああっ、かっ……ちょう……怖い」
弱い所だけを優しく擦られながら、大きな波にのみ込まれそうになるのを必死で耐えた。
この波に飲まれたら、いったいどうなってしまうのか。
怖くてたまらなかった。
だけどもう……これ以上は……
「も……やっ」
「強情ですね……なら、こっちはどうですか」
「いあああっ!」
くるりと円を描くようにお腹の裏を擦られた瞬間。
足の先から頭の先まで、熱い鉄の棒で貫かれたような快感が駆け抜けた。
背骨が折れるほどに、しなったあと。
落ちる――――
まるで底のない海に放り出されたように。
ゆっくりと、暗闇に落ちて行った。
最初のコメントを投稿しよう!