6話・狼がシジミにかわる朝

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このまま抱いていたい気もしたが、目を覚まされると面倒だ。 彼女を起こさないよう、細心の注意を払って布団に寝かせた。 壁掛け時計を見上げると、てっぺんで針が重なっている。 今すぐ起こさなければ、終電に間に合わないが…… 仕方がない。目が覚めたら車で送ろう。 掛け布団で体を覆ってから、唇に張り付いた髪を払ってやった。 喉が乾いているのだろうか。 唇がカサついている。 お茶を注いだグラスを、口元に近づけてみた。 「う……んっ」 よほど水分を欲していたのか、亀のように首を伸ばしてグラスに唇を寄せる。 少しだけグラスを傾けたが、やはり無理があるようだ。 口角から溢れた雫が、白い頬を濡らし…… それを追うように、小さく赤い舌が覗いた。
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