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彼女が『もっと』と口を開くのにかこつけて、何度も繰り返し……
いつしかその行為は、本来の目的を逸脱し。
舌を差し込んだり唇に噛み付いたりと、性的なものに変わっていく。
僕はいったい何をしているんだ。
相手は眠っている女だぞ。
これでは、まるで変質者だ。
なけなしの理性を振り絞って、彼女から唇を引き剥がした。
『はぁっ』と、切なげに息を吐き出す唇は、湿り気を帯びて赤く艶めいている。
これは、僕を誘っているのか……
程よく熟した果実のようなそれに、無意識に手を伸ばしかけ――
「……なにを血迷っているんだ」
冷水を浴びるべく、シャワールームに駆け込んだ。
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