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時刻は深夜1時30分。
とうに終電の時間は過ぎている。
明日も仕事だというのに、酷い目にあわされた。
「課長の鬼、悪魔、変態、ケダモノ、陰獣、エロガッパ」
腰が抜けて立ち上がれないので、腹いせに思いつく限りの罵詈雑言をぶつけること数分。
当の本人は、私には目もくれず、キーボードを叩き続けている。
見事なシカトだ。
悔しい……。心の底から。
今すぐにあのPCを破壊してやりたい。
「詐欺師、ペテン師、極悪人っ、明日倒れたら課長のせいですからねっ!」
「ああ、もうっ。うるさい!」
クシャクシャと髪をかき乱しながら、課長がこちらを向いた。
「まだ立てないんでしょう。大人しく寝ててください」
「立てなくしたのは誰ですかっ!」
「ですからお詫びに、自宅まで車で送ります。それまで黙って頂けますか」
極厚メガネをかけた課長は、すっかり昼間のシジミモードだ。
「結構です、始発で帰りますから」
「ならば、なおのことお静かに願います」
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