4月

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実は、希輝も自殺をしようと思った事は何度かあった。だが、実際行動に移すと怖くて出来なかった。 自分の部屋から飛び降り自殺をしようとしてみたが、窓枠に座って足が宙ぶらりんになった途端、下手したら落ちてしまうと思うと怖くてずっと窓枠にしがみついたままだった。希輝の部屋から落ちたって骨折程度、運が良ければ(?)死ぬくらいだから自殺の見込みはあまり無かった。 また、風呂で手首を縦に切って動脈を切り、大量出血で死のうとしたがそれも怖く、結局はいつも通り横に切って終わった。 死ぬ方法なんて幾らでもある筈だ。その気になって、サクッといってしまえば直ぐに死ねるような。 でも、希輝はどれも怖かった。 いつも痛みで憂鬱を紛らわしているのに。 ここで終わればもう何もしなくていいのに。 自殺を計る度、いつも出来ずに終わってはやっぱり自分は弱いんだと更に自己嫌悪に浸った。 今、誰か不審者が僕の家に入ってきて殺してくれないかなぁ。 そんな事を考えているうちに、ソファに横になった希輝はまた眠たくなったらしい。 左手首はまだズキズキと痛む。 それが希輝には心地よかった。
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