金の恋 銀の恋

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「夏期講習は東京にする!」 そう言って妹の珠洲(すず)が 等々力の家へ来たのは七月。 「どうせ東大を受けるなら  遊びついでに東京で  いるのも悪くないよ」   夫・(あつし)や 「受かる学校ならどこでも  いいと、思ってるのよ  夏休みの旅行のつもりでしょ?  篤さんには申し訳ないけど  子供達の遊び相手に  よろしくね」 大阪の母は、気楽に言う。 「等々力は東京駅から遠い!  荷物が重かったわ・・・」 その荷物には 化粧道具に衣服。 他は実家で作った漬け物や 乾物など土産… 勉強道具などほぼない。 「珠洲、予備校はどこにするの?  本郷ならすぐに試験を受けて、」 「そんなん、何処でもエエねん!  申し込んですぐのトコ」 「東大クラスはどこも  試験があるでしょ?」 「だから、そんなんチャウねん、  そんなトコに“恋“は  落ちてないやろ?」 「 恋 ? ! 」 500ミリボトルを 一気に飲み干す長身の妹。 5187b52b-c7d8-4b95-99c3-3c5be812457e
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