罪あることの荒唐

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「山賊」 「あ?」 「さんぞくー」  子どもはにやりと笑って繰り返す。わざとだなこいつ。  男は呆れたように肩をすくめ、 「えーえ、山賊ですよ。嫌ならどっか行けよ」 「なに言ってんの。家来のくせに」  ことあるごとに、こいつは俺を家来、家来と言う。確かに、そういう流れにはなったが、あんまり言われ続けると本当に腹が立ってくるぞ。 「ユタ」  唐突に名前を呼ばれて向き直る。  本当の名前はユタカなのだが、仲間からはユタと呼ばれていたため、今ではそっちが俺の名前だ。 「どうした、ツム」  ツムの見ている道の脇に目を移す。
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