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「で、これからどうするんだい?」
エフが尋ねた。
まだまだ時間はたっぷりある。
ここで帰るのはもったいないだろう。
「吾輩から皆さんに提案がありマ~ス」
ピーターが言った。
「この近くに新しくゲームセンターが出来ま~シタ。もし良ければ皆で行きませ~んか?」
「ん・・。行く・・。特訓する・・」
ケイタがめずらしく嬉しそうに言った。
「見てるだけでも構いませんか・・?」
ノエルがピーターに尋ねた。
「もちのロ~ンですよ。見てるだけでも楽しいデスからね」
「分かりました・・。それじゃあ私も行きます・・」
結局、12人全員がゲームセンターに行く事に。
ゲームセンターはメイドカフェからさほど離れていない所にあった。
しかも中には結構人がいた。
その中には、武術学園の別のクラスの生徒もいた。
皆、それぞれ休暇を楽しんでいるようだ。
「さて、ここからは皆さん自由行動としまショウ」
ピーターの提案に皆が乗った。
「パンチングマシーン・・どこだ・・?」
「それではご案内しまショウ」
「え?アンタ、どこにあるのか知ってるのかい?」
エフがピーターに尋ねた。
「もちろんデス。前回メイドカフェに行った後に来てますのでね」
「そうかい。それじゃあアタシも一緒に行かせてもらっても良いかい?」
「良いデスヨ」
「あ・・、私も一緒に行きます・・」
「おっ!ノエルっちもパンチングマシーンやるのかい?」
「や・・やりません・・!!見学です・・」
「あはは!そうかい。まあ、そういうのも良いか」
「ん・・」
と言う事で、ケイタ、エフ、ノエルの3人はピーターに附いて行った。
ピーターは気づかなかったが、入り口を入ってすぐ左の壁にフロアマップが貼り付けてあった。
残った9人はフロアマップを見て、どこに行こうかを決める事にした。
大まかな感じは以下の通りだ。
バーチャルリアリティコーナー レーシング 格闘 テニス 競馬
入口
ビデオゲームコーナー プライズゲームコーナー バラエティコーナー
格闘 レーシング UFOキャッチャーなど じゃんけんゲーム
野球 シューティング パンチングマシーンなど
音楽
入口 ←現在地
「エ―イチ!バーチャルの格闘ゲーム、勝負しないか?」
「良いねゼット!けど、あのゲームは人気あるから誰かがやってるかも」
「その場合はビデオゲームの方で勝負だ。そっちは数も多いみたいだから」
「OK!」
「あっ!僕も行くよ」
まずゼット、エイチ、テイキの3人がバーチャルリアリティコーナーへ向かった。
「おっ!テニスあるじゃん!誰か出来る人いない?」
「あら。サイさん、テニス出来ますの?」
「うん!私強いよ!勝負する?」
「望むところですわ!」
「よっしゃ!ねえアイ」
「うん?」
「アイもやろうよ」
「ごめんユウキ。私、ああ言うのダメなんだ。酔っちゃうから・・」
「そうなんだ・・。残念。それじゃあまた後でね」
「うん」
と言う訳で、ユウキとアールグレイもバーチャルリアリティコーナーに向かった。
「私はUFOキャッチャーに挑戦しよっかな」
「私も一緒に行って良い?」
「うん!行こ!エム」
アイとエムはプライズコーナーに向かった。
「俺は競馬だな」
残ったキュウが呟き、バーチャルリアリティコーナーに向かった。
その時、ピーター、ケイタ、エフ、ノエルの4人はすでにパンチングマシーンの所に到着していた。
バラエティコーナーに他にあるのは、じゃんけんゲーム、ワニワニパニック、プリクラなどで、まさにバラエティに富んでいる。
「それでは楽しんでくだサ~イネ!」
「あれ?アンタはやらないのかい?」
「吾輩はパンチングマシーンに興味はあ~りませんので」
ピーターはそう言うと、どこかへ行ってしまった。
「ようし。それじゃあ早速やろうじゃないか。ケイタ、どっちが先にやる?」
「レディーファースト・・」
「おっ!アンタがそんな言葉を知っているとは意外だねぇ~。それじゃあ、お言葉に甘えて・・」
まず、エフは100マニーをパンチングマシーンに入れた。
そして、パンチグローブを装着した。
これは四角い板(と言うより、座布団?)のような物を思い切り殴る。
すると、板のような物が後ろにのけ反る。
のけ反った際、板が受けたダメージの値を測定するというシンプルな物だ。
ちなみに、このゲームは100マニーで3回出来る。
3回の内、1回でも250以上出れば、景品がもらえるようだ。
最大値は300で、今の最高記録が202となっている。
「それじゃあ行くよ!!」
エフがブンブンと腕を回し始めた。
「うりゃ~~~~~!!!!!」
大きな叫び声と共に、エフは思い切り板を殴った。
板は後ろにのけ反った。
そして、威力の測定が始まった。
255
と表示が出た。
そして、パンチングマシーンの至る所がキラキラと輝き始めた。
「お~お~!派手な演出だねぇ」
エフは素直に喜んだ。
その後、パンチングマシーンの下の方で、『ガタン』という音がした。
どうやら、景品が落ちてきたようだ。
「どれどれ・・。景品は何かな?」
エフがパンチングマシーンの下の扉を開け、中身を取り出した。
景品は、小さなサルのぬいぐるみだった。
「あらぁ!かわいいじゃない!!」
エフはサルのぬいぐるみをしっかりと両手で胸に抱きしめた。
ノエルはそんなエフを見てほほ笑んで言った。
「かわいいですね・・」
「へへへ!ノエルっちもそう思うかい?」
「あ・・、ぬいぐるみもそうだけど・・、その・・エフが・・」
「ほえ?」
「エフの今の恰好・・。かわいいなと思って・・」
「え・・ええええ~!?」
エフは驚いて叫んだ。
「アタシが、かわいい?!」
「うん・・。ね・・?ケイタ君・・?」
「ん・・。そ・・そうだな・・」
ケイタは顔を真っ赤にして目を反らした。
ケイタは顔に反応が出やすいタイプのようだ。
「ふうん・・。そうなんだ」
エフは自分の事なのに不思議がった。
「そっか・・。アタシも女なんだよな・・」
「エフ?どうかしたのですか?」
「あ、いや、何でも無いよ」
エフはサルのぬいぐるみを自分のカバンにしまった。
「ようし!それじゃあ2発目といきますか!!」
エフがまた腕を回し始めた。
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