君の傘で雨宿り

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雨は一向にやむ気配を見せないでいる。それよりも、だんだんと雨脚が強くなってきている様な気がした。 そんな状況の中、未だ決めかねている私を見ながら高森君は小さく息を吐いた。 「そんなに身構える事もないでしょ。君は雨に濡れたくないから傘を差そうとした。けど、その傘は役には立たない。僕も雨には濡れたくないけど、君を無視できない。一緒に駅に向かうのが最善の策だと思うけど? そして、こういう時の善意には素直に甘えるべきだよ」 同い年とは思えない程の紳士的な発言に、胸の中が熱くなる。 ごもっともな意見です……。私には選べる程の選択肢は用意されていない。 なので、素直に甘える事にした。 「では、駅までおじゃまします……」 「心が決まったみたいだね」 フッと静かに笑った。その顔が頭に焼き付く。 ――こんなに柔らかく笑う人、初めて見た。 その笑顔を見た瞬間ずんっと心臓が跳ね上がり、また顔に熱を持つ。でも、さっきの恥ずかしさとは違う熱の持ち方。 何故だか高森君の顔が見れなくなった。 「じゃあ行こうか」 「う、うん」 返事もぎこちなくなる。 高森君の隣に並び二人で歩き出す。背が高く歩幅も広いはずなのに、私の速度に合わせてくれる。そんな些細な優しさが何だか嬉しかった。
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