君の傘で雨宿り

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次の日の朝は晴れていた。が、夕方からは雨の予報。学校が終わる頃はまだ晴れているか曇りだろう。 昨日みたいに雨が降れば……と、期待している自分がいる。 外見ハイスペックだろうと何だろうと、また高森君の隣に並びたいと思った。 昨日の今日で気持ちが変わっていた。『傘の中』という特殊な空間がなせるわざなのかな? 期待を入り交じりながら揺れ動く心。 空を見上げ、雨が降るのを待ち遠しく思う。 駅に着き電車が来るのを待つ。 傘は私の手元にある。まじないをかけるようにギュッと握った。 学校に着いてからも握りしめたままでいると、友達が不思議そうな顔をする。 「凄く大事そうに抱えてるけど、何で?」 「え? あっ、えっと……借り物、借り物だから。破けたりしたら駄目だし」 高森君から借りました――なんて言うとややこしくなりそうだ。外見ハイスペックなので結構人気がある。相手方に迷惑をかけるのは嫌だし、色々と突っ込まれたくない。とっさに防衛本能が働き、彼の名前を口にはしなかった。 「確か折りたたみ持ってるって言ってなかった? なのに借りたの?」 「聞いてよ! まるでコントみたいだったの。開いた瞬間、傘に穴が開いてて盛大に破れてた!!」 借りた主の話題を出されぬよう、少し大声で話す。 「えぇ!? そんな事ってあるの?」 「あったの!」 「嘘だぁ」 「本当だよ」 詮索されない事に安堵しつつ教室へ。 見慣れた風景が目に飛び込んできた時、全身に緊張が走る。 いつもはさほど気にしていなかった窓際の席。その席で読書をしている高森君の姿が目に入ったからだ。 私は反対の廊下側の席。今日ほどこの座席に感謝した事はない。 離れていて良かった。 「おはよう」とクラスの友達に挨拶を交わしながら自分の席へ座る。 傘はそのまま。放課後までに返すタイミングを見計らう事にした。
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