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空の帳が幾重にも積もる
強がりと寂しさの巡る黄昏
頭ばかりが前へと進んで
恐れるだけの両足は縺れた
どうせきっとやっぱりそうだ
夢の幻の泡のような淡い夕景
やがてずっとそうしていまも
陰の影の夜のような重い曇天
涙も雨も見た目は変わらないから
もう少しだけ空を仰いで堪えて
間隙に覗く悪戯な眩さを嫌って
頭だけは決して動かさないまま
足だけがそこから逃れていく
彼方の群青を目指すようにして
宵よりも暗い居るべき場所へと
帰っていく還っていくいつの間にか
当たり前に涙を流せたあの日々へ
心の記憶が辿っていく私の世界を
未だ蟠る夕陽が微かに照らしていた
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