2人が本棚に入れています
本棚に追加
#am6:45
「利貴っ。はやく起きて。」
ねーちゃんの苛立った声で目が覚めた。
「今何時ー?」
「もう六時四十五分。」
「やべーじゃん」
ねーちゃんの呆れ顔を無視し、制服に着替える。
オレは、高山 利貴。中二でーす。
急いで食卓に着くとじいじと、とーさんと、ねーちゃんは食べ始めるところで
「おはよう。いっただっきまーす。」
と、オレも食べ始める。
「ねーちゃん、相変わらずパン焼くのうまいね」
「当然でしょ。四年修行つんだようなもんだもん」
「もう四年経つかー」
「そろそろ命日じゃもんな」
明るい雰囲気の食卓に、寂しさが混ざり込んで変な空気になってしまった。
オレはとっさにいった。
「日曜日みんなで、墓参り行こう」
「そ、そうじゃな。帰りに、海でも寄ってな」
「よし。決まりだね。早く食べないと遅刻するよ」
「ハイハイ」
「行ってきます」
ねーちゃんと家を出ようとしたら、
「ちょっと待って」
とーさんがオレとねーちゃんを呼び止めて、頭をポンポンとたたいた。
「二人とも大きくなったな」
オレは思った。
じいじのやさしさ、ねーちゃんのあったかさ、そしてとーさんの醤油の匂い。
全部、あってしあわせだなって。
最初のコメントを投稿しよう!