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驚いて目を開けると、今度は目の前に先ほどの天使と思った子どもではなく、長い黒髪を緩く束ねたトウゴと同い年くらいの女性と目が合った。
「ナツメの言う通り、意識はあるみたいね。今から診療所へ行きますから、もう少し我慢して下さいね。」
そう言うとその女性は横たわっていたトウゴの腕を引っ張って自分にもたれ掛けさせながら立ち上がった。
「…一体ここはどこなんだ?地獄じゃないのか?」
トウゴが息も絶え絶えに話すのに、女性は軽く微笑みながら答える。
「ここはヤタネスク国のキンジュウ島です。あなたを地獄へは行かせないから安心して下さい。」
女性はそう言うとトウゴを抱えてゆっくりと歩き出した。
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