初めてのじかん

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「…ここはどこだ?」 トウゴが瞼をゆっくりと開けると、自分が住んでいる城のいつもの自分の部屋ではなく、見慣れない木張りの天井の木目が目に入った。 どこなのか確かめようと、寝ている体を起こそうとするが、痛みと重力を感じて起き上がる事が出来ない。 「…お目覚めになりました?」 記憶が途切れる直前に聞いた、穏やかで耳に残る声の方へとゆっくりと顔を向けると、声色と同様に穏やかな表情で微笑むマアヤと目が合った。 マアヤはふふっと小さく笑うと、トウゴの枕元に置いていた湯飲みに水を注いだ。
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