初めてのじかん

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「ここはキンジュウ島の高台にある診療所です。傷は処置しましたけど、右腕と左足を骨折しているので3ヶ月くらいは養生しないと。」 マアヤはそう言いながら、湯飲みを持って寝ているトウゴの側へとやってきた。 「おそらく長く海を漂流していたのでしょう?それなのにこの程度の怪我で済むなんて、お強いのですね。3日間昏睡状態でしたから、まずは水分補給しましょうか。」 マアヤの言葉にトウゴは驚いて目を見開く。 「俺は3日間も寝ていたのか?」 トウゴが驚いている間に、マアヤはトウゴの上半身をゆっくりと起こして自分へともたれ掛けさせる。 体が動いたせいで痛みが全身に走るが、それ以上に触れたマアヤの体温がとても柔らかく心地よく思えた。
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