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トウゴを乗せた海軍の船は小さな島々の間をぬう様に巡回していく。
しばらくすると船長の言葉通り、沖から冷たい風が吹いて来る様になり、黒くどんよりとした厚い雨雲が水平線の奥から湧いて来た。
「船長の言った通りだな。これは嵐が来そうだ。」
船の先頭に立ち、望遠鏡で周りを見回していたトウゴが、側にいた海兵隊員に呟くと海兵隊員は黙ったまま頷いた。
「我々ヤタネスクに住む者は海と共に生きていかねばなりません。国民が少しでも快適に過ごせる様に、海の天候を読み伝え、嵐に備えてもらうのも海軍の立派な務めなのです。」
海兵隊員の言葉に重みを感じ、トウゴは神妙な顔つきで頷いた。
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