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ふたつめのサンドイッチを食べ始めても、鳥たちはまだかしましく囀っている。
「……なんか、喋ってるみたいですね」
一瞬彼は考えるような顔をしたけれどすぐに通じたらしく、ああ、と答えた。
「近くの木が気に入りの場所なんだか、よくそこでくっちゃべってる」
笑いそうになり下を向いていると
「なんだ」
と彼は眉を寄せる。
「知り合いみたいだから」
「……しょっちゅう聞いてりゃ知り合いだろ」
「そうですね」
「笑ってるだろ」
「っていうより、なんか、海棠さんがそういう人で良かった、みたいな」
「なんだそりゃ」
なんでもない小さな鳥の声すら生活の一部のような、自分がずっと憧れていたのがそういう人で良かったと心から嬉しかった。
「で、食べてるとこになんだけど、昼、どうする」
「……あの、あんまり居座ってても悪いから、朝だけ食べたら失礼しようと思います。明日は出勤だし」
「居心地悪いか。ここは」
眉間にきつく皺を寄せて彼は言った。
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