晴天の昼下がり

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晴天の昼下がり

窓辺に作った特等席で、私はうたた寝をする。 今日も今日とて、うたた寝日和。 体を目一杯伸ばして、大きなあくびをする。 今日は特別でも何でもない、普通の日。 普通って、なんだ? 私は毎日考える。誰が普通を決めたんだろうか。偉い奴?それとも私? 何もない日が普通なら、豪華な食事の日は特別な日?作る奴の気まぐれで、その日のご飯が決まるのに? 特別ってなんだ?私にとって特別でも、あいつにとっては何でもない。そんなモノを特別って呼んでいいの? 窓辺から差し込む日差しが、やわらかな眠気を誘う。 考えるのは疲れた。今日ももう寝てしまおう。 どうせあいつは帰ってこない。日が沈んで、部屋の空気がシンと静まるまで、帰ってこない。 私は独りぼっち。だから今日もうたた寝日和。 …もう一度、考えてみようか。 私の特別は、あいつの特別じゃない。 私の普通は、あいつの普通じゃない。 だったら、普通って何物でもなく、私が決めていいんじゃないかな。 世の中の、どんなやつがどう思っても、私が普通と思うなら、それが「普通」でいいんじゃない? あいつは、きっとそうじゃない。 あいつは周りの目をいっつも気にしてる。 この前も、帰ってくるなり、私に抱きついて、メソメソ泣いていた。 あぁ、どうしてそんな面倒なことをやってるの?嫌ならやめればいいじゃない。 あいつの顔をグニグニつついてやると、いつも疲れた顔で笑う。 そんなあいつが、私は心配だ。 いつの日か、夜になっても、あの玄関のドアが開かない日が来るかもしれない。 そんな心配を、たまにする。 私ができることなんて、何もない。 話を聞いて、慰めてやって、毎朝見送るだけ。 あぁ、少しは私を見習えばいいのに。 何年一緒にいると思ってるのか。 今日も私はあいつの帰りをまつ。 うたた寝をしながら。 今日も今日とてうたた寝日和。 夜になった。 「ただいまー。」 あいつが帰ってきた。 私は玄関まで出迎えに行く。 いつも通り、くたびれた顔で、私の頭を撫でる。 そんなことはいいから、さっさとご飯にしましょうよ。 私は、あいつが腰かける前に、猛アピールしてみせる。 「はいはい、わかったよ。ご飯にしようね。」 あいつが皿を取り出し、ご飯を準備する。 「今日もお留守番ありがとう、ミケ。」 私は床に置かれた皿から、ご飯を頂いた。 今日も今日とて、普通の日。 明日もきっと、うたた寝日和。
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