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「よろしければ今の心情の方を教えていただけませんか」
記者達が今日一番の前のめり。
1秒、2秒と。ゆっくり返事を待つ。
「おい、ちょっといいかい」
ヨシユキは突然大声を出す。
「インタビュアーの方。少し話すのをやめてくれ、それだけでいいそれだけで全て分かる」
インタビュアーは勿論の事、記者団も皆驚いている。何人かはヨシユキのことを撮ったりもしていた。
そして時は来た。
「そうですね、正直」
ラジカセの向こう側の人物が喋りだした。
「おいおいこれはどういうことだ」
「少し怖かったです」
「こっちの声が聞こえてないってことないよな」
「なんかあの世ってあるんだって今」
「気にしないで話し続けてるこの感じ」
「実感しました」
「録音以外あり得ないよな」
「それと」
「あーもううるさい。もうこんな茶番いいだろ。ラジカセを止めろよ」
ヨシユキはラジカセに怒号を浴びせる。ラジカセは止まらない。
静まり返る会場。
「なあ。どうしてくれるんだ、この茶番を」
「あのー、注意事項を聞いてらっしゃいましたか」
「なんだ今更俺をつまみ出そうってか。やってみろここに居る全員が証明だ。なんなら録音録画までしてるとこもあるぜ。言い逃れできないよお前たちは」
周りを見渡す。
周りの者は皆、唖然とした表情で彼を見る。
「なんだよ、え」
「恐らく全く聞かれていなかったようなので説明いたします。会場の外で」
ヨシユキは抗議しながら警備員に連れ出される。
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