脱がせたい。後編

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「服を着たままで、することですよ」 「……え? 」服を着たままで、一体ナニするんですか? 謎しか浮かんでこない。 「下だけを脱ぎ上はスーツを着たままとか、あとはネクタイと靴下のみを残して全裸になるとか、着衣エロにはいろいろなシチュがありますが、どうされますか?」 どうされますかって……まるで執事みたいな聞き方だが、なんだその、よくわけのわからない選択肢は? 「……いや、おまえ……同性経験はないようなことを話してたのに、なんか妙に詳しくないか?」 頭をぐるぐると回る困惑をぶつけると、 「……ああ、それは、そういうゲイ動画を見たからですね」 さらりと返された。 「ゲイ動画って……な、なんで? そういう趣味は、ないんだろう?」 実は彼は動画まで見ちゃうベテランさんで、初心者の仔猫ちゃんな俺をだまくらかして食っちゃおうとしてるんじゃないかと感じて、ベッドを後ろ手にじりじりと後ずさると、 「逃げないでくださいよ」 と、上から身体をシーツに押し付けられて、 「先輩のことが好きな自分をすぐには受け入れられなくて、本当に男が好きなのかをそういうので確かめたんです。 ですが動画を見て、俺が好きなのは瑞樹先輩だけだったということに、改めて気づきました」 そう、あまりにも淀みなく打ち明けられて、 「……ええっと……」額に手をあてて、「う〜ん……」思い悩んだ。
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