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定食屋には不釣り合いなほどにスーツが決まっている仁王寺と向かい合って飯を食う。
どうしたらいいんだ……目のやり場にすら困る。っていうか、なんでそうおまえはスーツとネクタイの色味が抜群に合っていて、俺の隠された性癖を刺激するんだ。
箸を口に運びながらキョロキョロと視線ばかりをさまよわせている俺に、
「やっぱり先輩とメシ食うの面白いです」
と、仁王寺が口を開いた。
「な…何がだよ、さっきから。俺の何がそんなに面白いって言うんだ?」
スーツにフレームのないリムレスのメガネがピタリとはまっていて、目を合わすこともできない。
「……どこ見て言ってるんですか? 俺はこっちですって」
逸らした顔を、メガネの弦を指で軽く摘まんで覗き込まれて、
「……おぉお、み、見んな……っ」
と、真っ赤になった。
「……くっ、おもしろ…」
赤面する俺を見て、「そういうところですって! 先輩と食事すると楽しくてしょうがないです」握った拳を口にあてて笑いをこらえた。
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