キメてるスーツを、前編

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どうして仁王寺に面白がられているのか全くわからない。 俺のどこがそんなに笑えるっていうんだ……とかぶつくさ思いつつ、 残っている仕事をこなしていると、いつの間にか俺以外にはフロアに誰もいなくなっていた。 ヤバい…スーツに気を取られているうちに、また遅くなってしまった。 だが、今日も会社には俺好みのスーツのコーディネートがあふれていたーー体育会系の胸厚(ムネアツ)な彼を包むブラックスーツも良かったし、女みたいに細身(スリム)な彼の体にフィットしたスーツも最高だった……、 ……ああ、でもなんと言っても、仁王寺だよな。 あいつは、スーツのカリスマだ。いや、レジェンドだ。もとい、やっぱり神だ! あいつほどスーツの似合う男を、俺は知らない……などとまた妄想を巡らせていたら、 「瑞樹先輩、」と、ふいに声をかけられた。
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