キメてるスーツを、前編

7/16
前へ
/28ページ
次へ
この低くよく通る声はまさか……振り返ると、俺のスーツの神ーー仁王寺が立っていた。 このシチュエーションは、本日二度目だ。なんでこいつはいつも、俺に構ってくるんだよ? 「残業ですか?」 訊かれて、 「ああ…」と返して、「おまえは、もう帰ったんじゃなかったのか?」と、尋ねた。 「外回りで遅くなって、ちょっと片付けないといけない仕事があって戻って来たんですよ」 「……そうか…」 ヤバい、見とれる。つい顔が赤くなりそうにもなって、目を逸らした。 と、 「……何、赤くなっちゃってるんですか?」 目ざとく赤面したのを見つけられた。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

502人が本棚に入れています
本棚に追加