【2】

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次の日学校へ行くと、萌未が駆け寄ってきて伊織に思いきりビンタをした。 「いっ…てぇ…」と言うと「あの日、何処で何をしてたのよっ!!」と萌未が泣き叫んだ。 伊織は無言で萌未の手を強引に引っ張ると、屋上へと連れて行った。 萌未が「離してよっ!!」と泣き叫びながら伊織の手を振り払うと、伊織は無言で上を見上げながら大きくため息をついた。 それでも萌未が「ねぇ、何でいなくなったのか聞いてるでしょ?!このバカ男っ!!」と叫ぶと、伊織が「前に約束したよな?またヒステリックになって、ビンタとかをしたら"俺たちは終わり"だって言ったよな?」と言いながら、制服を(はた)きながら萌未をジロッと睨みながら見つめた。 それでも萌未が泣き叫びながら「私の質問に答えろよっ!!ねぇってばぁ!」と言い、伊織を何度も何度もビンタをした。 以前にもデートをしていたとき伊織がトイレでいなくなったときに、トイレの帰りにたまたま女性に道案内をしていたところ、萌未がヤキモチを妬いてヒステリックになって暴れたり、同じクラスメイトの女子生徒に話していただけでヤキモチを妬かれて、萌未の家で殴られたり蹴られたり暴言を言われていたが、伊織は反論せずにグッと堪えていた。 一度反論をしたら、さらに倍になって罵られたり人格否定をされたためグッ堪えながら、萌未をなだめたりしていた。 ようやく手が止まると、伊織が「これで、もう満足した?この際ハッキリ言うけれど、他に好きな女が出来たし、何にも成長しないで俺の気持ちを何一つ分かろうとしないお前には心底疲れた。別れよう」と言いニコッと微笑みながら、屋上を出ようとした。 萌未が「待ってよぉ…!イッちゃん…ヤダよぉ!!ねぇってばぁ!」と言い、伊織の手を引くと無言で手を振り払ったが、それでも萌未は伊織に抱きつくと「悪いけど、もうお前には失望と嫌悪と憎悪に満ち溢れてる…頼むから、これ以上俺を本気になる前に消え失せろ」と言いながら振り向くと、またしてもニコッと微笑んだ。 その笑顔に底知れない恐怖を感じてゾクッとし、萌未は立ち尽くしたまま伊織の背中を見つめていた。 伊織は自販機で、バナナオーレを購入すると何食わぬ顔で教室へと入っていった。
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