【2】

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学校を終え、校門へ向かうと萌未が立っていた。 シカトをして、バイクにまたがると「ねぇイッちゃん…さっきのこと反省してるからさぁ、許してぇ?」と言いながら、バイクの後部座席に触れた。 すると「触るンじゃねぇ!このクソ(アマ)ぁ!!」と物凄い剣幕で怒鳴りながら、思いきり突き飛ばした。 萌未が泣きそうな顔で、伊織を見つめると「言ったよな?二度と、その汚ぇ面見せンじゃねぇ…次触ったら、ブッ殺す♪」と言い、ニコッと微笑んだ。 萌未は泣きながら、帰っていった。 伊織のバイクは、昔父親が暴走族・羅華愛屡の総長をしていた頃に乗っていたバイクで「息子がデカくなったら、このバイクを譲る」と言い、20歳まで乗っていたバイクだった。 伊織が16歳の頃、大樹の家の板金屋の車庫に大切に保管してあったのを譲り渡した。 大樹の父親と伊織の父親も幼馴染で大樹の父親は6歳も年上だったが、よく一緒に行動をしていてお互いに信頼をし合っている仲だった。 伊織の父親が24歳の頃に伊織が誕生し、よく伊織を乗せてバイクを走らせてくれていた。 今でも大樹の家に寄っては、塗装をしたり修理をしたりしていた。 そんな思い出の詰まったバイクを、誰にも触れさせたくないと思い、大樹以外は誰も乗せることはなかったが風は何故だがわからないけれどすんなり乗せることに何の抵抗を感じなくて、スムーズに乗せた。 大樹の家に行くと、勝手に修理を始めていると「おぅ♪また来たのか?」と言い、大樹の父親がやって来た。 伊織が「昨日、ド派手にやっちゃったンすよー」と言いながら、直していると「あー聞いたよ。背中のケガは痛くねぇのか?」と聞くと「んー。まだちいっと痛ぇけど、女が手当てしてくれたからヘーキ♪」と言いながら、手慣れた様子で塗料を塗っていた。 大樹の父親が「そっか♪あそこは、紗紀弓覇珠のシマだからなぁ。気ぃつけなぁ!」と言い、伊織の肩を優しく叩いた。 大樹の父親は、大樹同様根掘り葉掘り聞くような人間ではなかったため、精神的にラクだった。 しばらくして、大樹の双子の妹の咲樹(さつき)がやって来た。 咲樹は大樹とは違う学校へ進み、たまに店の手伝いをしながらレディースの浮羽尊(プワゾン)の特攻隊長をやっていて、偶然にも兄と同じ特攻隊長だった。 性格は物凄くシャイでメガネをかけているが、レディースになるとコンタクトレンズをしてサラシを巻いて肩を出したりしてセクシー路線で、一部暴走族からアプローチをされたりしているが、本人たちは羅華愛屡の親衛隊として活動をしているため他の暴走族には興味がないがレディースの中で、中々腕のある強いチームだった。 密かに、伊織に片思いをしていたが兄の友達と言うことで程よい距離感を保っていた。 「よっ♪さっちゃん♪」と言いながら、伊織が微笑むと咲樹は顔を赤くしてお辞儀をして作業着へと着替えに行った。 伊織が「なーんか、俺嫌われてンのかなぁ?」と呟くと「よっ♪どした?」と言いながら、大樹がやって来た。 伊織は苦笑しながら「俺さ、さっちゃんに何かしたかな?」と聞くと「テメェ、パンツとブラジャー盗んだべ?」と言い、笑いながら言うとヘッドロックをした。 伊織が「バカっ!さっちゃんのは盗まねぇよ!」と笑いながら言うと「本当にぃ?まっ、しゃーないから信じてやんよ♪」と言い、ニヤリと笑った。 「テメェ…いい度胸してンねぇ?」と言い、伊織が立ち上がった。 伊織は182cmだったが大樹が168cmで、その迫力に圧倒されながら「しゅびましぇんでしたぁ」と言い、襟首を掴まれて泣きそうな顔をするのがお約束だった。 その様子を、大樹の父親は微笑ましく見つめていた。
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