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約束の時間より早めに到着し、伊織はベンチで座りながらタバコを吸っていると「ごめぇーん!待ったぁ?」と言いながら、風が走ってきた。 「大丈夫だよ♪俺も今来たトコ♪」と言いながら、優しく微笑んだ。 風が「兄ちゃん♪」と言い手を繋いできたが、手を振り払うことをせずに一緒に歩いた。 伊織が「何処か行きたいトコある?」と聞くと「この間ね、美味しそうなドーナツのお店が出来たから行きたいなぁー♪」と言いながら、風は上目遣いで甘えてきた。 「いいよ。行こっか?」と言うと、風が「やったぁ♪場所はね…」と言いながら、場所を教えてバイクにまたがり走らせた。 走らせること数分、ドーナツ屋へと到着した。 外からは微かに甘いニオイがしていて、店内にも入るとさらに甘いニオイがし、女性が多かった。 「わぁー…♪どの子も美味しそう…♪」と言いながら、風が目を輝かせながらショーケースに張り付いて見つめていると「石川さん…だよね?」と少女が話しかけてきた。 その声がした方を振り返ると、日本人形のような髪の毛で目もぱっちりした少女がニコリと微笑むと、伊織にお辞儀をした。 風は伊織の後ろに素早く隠れて、警戒をしていると「そんなに緊張なさらないで?ボーイフレンド?」と聞きながら、伊織の方を見た。 目が合うと、深々とお辞儀をしながら「私、水沢育美(みずさわいくみ)と申します。いつも彼女にお世話になっています。よろしくどうぞ」と言うと「あっ…あぁ。俺は、目黒伊織と言って、高校2年。よろぴこ♪」と言うと、育美はクスッと笑って「じゃあ、また。ごきげんよう…」と言い、スカートの両端を摘んでお辞儀をして去っていった。 育美の姿が見えなくなると、風がひょこっと顔をだしてあっかんべーをした。 伊織が「どした?嫌いなんか?まっ、とりあえず何か好きなの選びな」と言い、笑いながら風の頭を叩いた。 風はカメラでショーケースを撮影し、4つ指差してアイスティーを注文をし伊織を待っていて、伊織は2つ注文をしてアイスコーヒーを注文し、席に座った。 風は周りを見渡してから、安心した顔をすると「いただきまぁーす♪」と言い、手を合わせてドーナツを頬張った。 伊織もいただきますと言い、手を合わせてドーナツを食べた。 ふと育美への態度が気になり、伊織はそれとなく聞くと「あの子意地悪してくるから、大嫌い!!」と、嫌悪感丸出しで言ってきた。 さらに詳しく話を聞くと、成績は物凄く優秀・容姿端麗・先生たちからの評判が凄く良くて、先生たちからは好かれている・他の学校の男子生徒からオッカケがいるほど人気が高いとのことだった。 伊織が「ふーん…お前の方が俺は好きだけどな?」と言いながら、微笑んだ。 風は顔を真っ赤にしながら「ふうも、兄ちゃんのことが大好き…だよ?」と言い、俯きながらドーナツを食べた。 明らかに動揺している風を見つめながら、伊織が「じゃあ、あとでたくさん愛してやっからな?」と言い、風の頭を撫でた。 風はさらに動揺をし、顔を赤らめながらゆっくりと頷いた。
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