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この日は、母親が帰ってくる日だった。 伊織は風を家まで送り届けると、別れた。 アパートに帰ってきて、バイトへ行く支度をしていると母親が帰って来た。 伊織はいつものように「んじゃあ、ちょっくらバイト行って来まーす♪」と言うと「伊織、話したいことがあるんだけどいいかしら?」といつになく真剣な声のトーンで呼び止められた。 それでもバイトの時間が迫っていたから、伊織は「帰ってきたら、いくらでも聞くから…」と言い、玄関を出ていった。 母親がふと4人で出かけた写真を見つめると「気のせいかと思っていたけれど、恐れていたことがついに来てしまったのね…」とぽつり呟いた。 だんだんと雲行きが怪しくなっていき、雨がポツポツと降り出した。
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