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伊織が帰って来ると、母親がすっ飛んで来て居間へと連れ出した。
「どうしたのさ?今日は仕事じゃなかったの?」と言いながら、ニコッと微笑むと「あなたに話さなくてはいけないときが来たみたい…」と言い、母親は一冊のアルバムを手にしていた。
母親が「実はね、アナタと死んだお父さんとは血が繋がっていないの…」と言いながら、俯いた。
伊織が「えっ…?どういうことだよ?」と聞くと「実は私、高校の頃に教会から帰っているときに米軍にレイプをされたの…そのときに出来たのが伊織、アナタだった。犯人が捕まらないで泣き寝入りをしていたンだけれど、そのときにお父さんと付き合ってて、お父さんが"子どもには罪がないから"と言って、結婚してくれたの…」と言いながら、アルバムをめくった。
言われてみれば、父も母も小柄な体型だったし二人とも一重だった。
自分だけは、外人みたいにクッキリとした目鼻だったし体型もガッシリしていた。
さらに「それからしばらくして、お父さんと浜辺を歩いていたときにまたしてもたまたま歩いていた米軍にレイプされちゃって、お父さんは意識がなくなるまで殴られちゃって…そのときに出来たのが、風ちゃんだったの…」と言いながら、伊織を見つめた。
伊織の顔色がだんだんと青ざめていき「嘘だろ…?」と言うと「私も嘘だと思ったけれど病院で検査をしたら、同じ男性の遺伝子だった。レイプをされているときに『お久しぶり♪また会えるだなんて、最高なビッチだ♪』って英語で言われたのをハッキリ覚えてる。」と言い、またしても俯いた。
伊織が「そいつは、今何処で何してンだよ…」と言いながら、怒りで震えていると「事件が明るみになる前に、アメリカへと帰って行ったわ…」と言い、涙を流した。
「ふざけンなよっ!!俺と風は、愛し合ってるンだ!そんな偶然、あるわけねぇだろーが!!」と言い、母の肩を思いきり掴んだ。
母親が泣きながら「あなた達は、兄妹なのよ?!何バカなことを言ってんの!!汚らわしいっ!頭オカシイ!狂ってるっ!!」と言いながら伊織をビンタして、さらに「あんな子、産むんじゃなかったわよ…!アンタの顔も見たくない!!」と言うと、母親はそっぽを向きながら震えていた。
伊織は、しばらく沈黙をした後「……わかった。出ていくわ。」と言い、部屋へと入るとボストンバッグに必要最低限の荷物をまとめると、出ていった。
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