【4】

2/8

66人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
大樹の両親に事情を説明すると、笑顔で受け容れてくれた。 伊織が「お礼と言っちゃあなんだけれど、高校を辞めてここで働かせてください!!」と言いながら頭を下げると「…わかった。ただし、今まで以上に厳しくするから、覚悟しろよ?」と言い、ニカッと笑った。 大樹の板金屋は板金屋だけでなく、有名なバス会社とかを整備していたりとかなり大きくて社員寮もあった。 幸いなことに一部屋が空いていたから、そこへ住むことにした。 すっかり咲樹と風は仲良くなり、伊織の心配をよそに親友になっていた。 大樹の母親が「風ちゃん、我家だと思っていいからね」と言いながら微笑むと「うん♪ママ、あんがと♪」と嬉しそうな顔をして、カメラで大樹の母親の写真を撮影した。 大樹の父親が「これって、ドイツ製の有名なカメラだよね?」と言うと「うん♪ドイツに行ったときに、一目惚れをしたからお小遣いを貯めてあったから買ったんだぁ♪」と言いながら、大樹の父親を撮影した。 伊織が「そう言えば風はよく撮影してるけれど、自分は写らないの?」と聞くと「カメラ、苦手なの…」と言いながら、微笑んだ。 その顔にドキッとしていると「兄ちゃん♪」と言い、腕を組んできた。 胸が当たると、またしても耳元で「ブラ、してないっしょ?」と言うと、風は顔を赤らめながら頷いた。 大樹が「おーい、そこのアベックやぃ。荷物を部屋に運べやぃやぃ。」と言い、荷物が入った段ボールを軽トラックに運んでいた。 咲樹も「そうだよー!風ちゃんの洋服とかあるんだからね!」と笑いながら言うと「あっ!!さっちゃん、ゴメンね!」と言い、咲樹に駆け寄って段ボールを軽トラックに運んだ。 あれから風のいた家にはマスコミが来ていて、以前から風に虐待をしていたことが明るみになり、さらに風や他の未成年の学生たちをお偉いさんたちに紹介して、ポルノ写真やいかがわしいビデオの撮影会をしていることがわかり、名簿から芋づる式で逮捕者がたくさん出てきた。 風は親戚の家に引き取られたということにして、マスコミにそれ以上探さないで欲しいという置き手紙を置いて、伊織は荷物を全部持ち運んで出ていった。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加