相棒日和

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「僕……」 倉橋の言葉に辰巳は我に帰った。 「僕、優一さんに会いに病室に行ったんです。そうしたら凄く背の高い男の人が扉にもたれかかっていて。怖かったけど、退いてもらわなくちゃと思って声を掛けました。そうしたら、その人は……あなたは僕に『生きろ』って言っ……」 大粒の涙が倉橋の大きな瞳からぽろぽろと溢れていく。頬に赤みが差して、倉橋に漸く生気が戻ってきたように感じた。 「生きろっていうから、僕っ……僕、病気を治してたくさん運動も勉強も頑張りました。警察官になって辰巳さんに会いに行くんだって、そう思って頑張りました。優一さんが、警察官になって辰巳さんに会ったらこの御守りを代わりに投げつけて来いって。それで、面倒みてやれって。きっと独りぼっちだからって。名刺に名前も書いてもらいました」 涙をごしごし袖で拭きながら倉橋に御守りをと名刺を渡された。塚田の名刺の裏に辰巳の名前が書いてある。弱々しいが確かに塚田の筆跡だ。 「そうか。お前、頑張ったな」 辰巳は倉橋の頭を優しく撫でてやった。倉橋はびくり、と身体を震わせた後で小さな子供みたいにわんわん泣いた。
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