ミステリアスなオンナ

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ミステリアスなオンナ

定時6時の五分前。 「まっ、今後はそういう事で。 あとはよろしく!」 会議中、何の意味を成さなかった、タブレットを机に放り投げ、伸びをした営業部長の舞海(マイミ)さん。 みんなが出して決定したデザイン画(紙)を収集する企画室チーフ、高見(タカミ)さん。 45才、独身、残念感がある美女。 マイミ、タカミ、コンビだ。 「さっ、時間にもなるし。」 クイッと一杯ひっかける仕草をした舞海さん。呑む気満々だ。 彼にしたらこの会議も吞む為の前座的なものなんだろう。 「おごり?おごりですよね~!やったー。」 と可愛らしく奢られようとノリノリなのは 企画室のムードメーカー、一城(イチジョウ)さん。入社2年目。 「えー?そんなのいきなり困る~? 子供迎えに行かなきゃいけないもーん。」 とても二児の母には見えないひと昔前のギャル風な彼女も企画室のサブチーフ(サカエ)さん。 「どうせ旦那に頼むんだろ?」 と、声をかけたのは営業の(ニシキ)さん。 元暴走族の頭だったらしいが、今は子煩悩の一児のパパだ。耳には多数のピアスの穴跡。 「さっ、行くぞ! おいっ、朝乃君(アサノ)。 君は初めての企画会議だっただろう? 感想も聞きたいから一緒に来るよな!!」 と今年の新人朝乃君をガシッと肩組みしたのは舞海さんだった。 ここは私の再就職先。 『ロマン舞鶴』 地方のアパレルメーカーだ。 彼らは私が所属するメーカー内のブランドグループのメンバー、総勢6人。
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