シュート

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シュート

 もうすぐ夏休みといったころ、クラスは浮かれる雰囲気にはなかなかなれなかった。先生に連れ出された生徒は、その後より一層荒れていて、クラスの空気を常にピリつかせた。特に世界史の授業のときは普段以上に苛立っていた。授業中に自前か学校の備品かわからないバスケットボールを跳ねさせたりと、蛮行のレベルが上がっていた。そして、ある日の夕方、世界史の授業中、生徒は床でしきりにバウンドさせていたボールを黒板に投げつけた。ボールは先生の頭のすぐ横の黒板に当たり、床を転がった。大きな沈黙。振り返る先生の強い視線。生徒は笑顔で受ける。響く罵声。耳鳴りがしそうだった。二人は激しく言葉を交わしながら教室外へとでていった。
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