mission 1

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「ふあぁ……よー、お前も呼び出しかぁ? 八雲」  後ろからいかにも眠そうな声が聞こえる。振り返ると同僚のロイ・エバンスがひらひらと手を振りながら立っていた。同僚とはいっても八雲とは10も離れた年上である。  寝起きなのかいつものコンタクトではなく、やたらと大きい瓶底丸メガネをかけている。ロイの艶やかな金髪は今や見事に失われており、肩まで伸びたそのボサボサな長髪をまとめもせず、無造作に下ろしていた。まさに美男子が台無しの状態である。  八雲は再び歩き出しながら淡々と返事をした。 「酷いだな、ロイ」 「お前人のこと言えねぇだろ、自分の頭見たか? 鳥の巣みたいだぞ。ほんっと、人使い荒いよなぁうちのボスは。ま、俺らは少しエリザを見習うべきかもしれないな」  2人が歩みを進める先の部屋から1人の女性が現れた。彼らの同僚エリザ・ローズはロイと同じ金色をしたウェーブヘアだが、艶やかに手入れされており腰の辺りまで伸びている。小綺麗に化粧もしているようで、2人に気づくとHi!ときらめく笑顔を見せた。 「よーエリザ。エリザも呼び出しか?」 「そうよ。ボスったらやんなっちゃう、いつも突然呼び出すんだからメイクも簡単になっちゃうし⋯⋯」 「お前それ以上に塗りたくるつもりか? 後一歩でモンスターだぜ。ま、女もアラサーになると色々たいへっ」  ーーゴッ⋯⋯!  エリザの裏拳がロイの高い鼻を見事打ち砕いた音が廊下に響いた。任務続きで疲労しきった体はいとも簡単にぐらりと倒れ、背中から廊下へと吸い寄せられる。  床の上でピクリとも動かなくなったロイを助ける人間は1人もいなかった。
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