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「No.8、9、10、到着しました」
八雲が扉に向かって声を上げると、ゴゴゴと鈍い音を立てて扉が開く。中は相変わらず薄暗く、大きなスクリーンの明かりだけが煌々と光っていた。
「激務の中申し訳ない。みんな、中へ入ってくれ。あとこれは差し入れ。受け取って」
ぽい、と3つ投げられたそれは3人の手の中に綺麗に収まった。食欲が消え失せるほどの原色カラーをしたキャンディ。しかし誰一人としてその包み紙を開く者はおらず、皆そのままポケットに仕舞おうとした。
すると瞬く間に前方からブーイングが飛んでくる。3人は揃いも揃ってギクリと肩を震わせた。
「えー! 誰も食べないの?! 疲労回復には糖分が一番だよ。脳のエサも糖分だけなんだからね」
「「「Yes,boss……」」」
3人は揃って返事をし、頭を上げた。
大きな革張りの1人掛けソファーにちんまりと座り込む“ボス”とよばれたその“幼い少年”は、三人を眺め、にっこりと満足げに微笑んだ。
隣に側近のNo.2 オリバー・ウォードを従えて。
「さ、みんな。新しい任務のはじまりだよ」
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