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ーーNo.8、9、10到着30分前
作戦本部内にて1人の男が声を張り上げていた。
「ボス!! No.6より緊急伝令! BCの反応を確認しました!」
ボスと呼ばれたその“幼い少年”はニヤリと口端を上げ、くわえていた棒付きキャンディーを取り出した。
目の前のデスクには砂糖たっぷりのレモンティーが注がれたカップがあり、その中にキャンディーをヒョイと投げ入れる。
その少年は齢10歳そこそこだろう、なのに子ども特有の可愛らしさやあどけなさは微塵もなかった。子供らしさといえば極度の甘党というところくらいだろうか。
漆黒の滑らかなショートヘア、右は澄んだブルー、左は琥珀色に近いイエローと左右色の違った大きな瞳が色白の肌によく映えている。一言でごく簡単に言い表せば、まさに“美少年”である。
「デジタルからアナログ式に変えてよかった。衛星を使っても見つからなかったんだ。しらみつぶしだなんて効率の悪い方法はとりたくなかったが……見つかったならいい」
「全国に散らばった探査員に感謝せねばなりませんな」
「もっともだ、オリバー。彼らの働きがなければこの成功はなかった」
オリバーと呼ばれた初老の男は静かにうなずいた。肩幅胸板ともに大きく背丈は軽く190はあるだろう。
シルバーの短髪と口ひげをもち、同じ銀色に光る四角いフレームの眼鏡をかけている。いかにも厳格そうなその大男、オリバー・ウォードは少年の座る漆黒のソファーの隣に従い立っていた。
「位置は?」
「特定できました。場所はーージャパン、トーキョーです」
「やはり、か。この左目は嘘をつかなかったらしい。で、トーキョーのどこ?」
「それが……」
「それが……?」
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